親父を偲んで その2
予想通り、土曜日の海は荒れた。
部屋の窓から見える沖の沈み根の所で白波が立っている。
これでは絶対に磯渡しは無理。
部屋を掃除したり、テレビを見たりして一日を過ごした。

夕方、窓から海を見ると波は収まり、穏やかになっている。
渡船屋さんに電話をして、明日の出船を聞いてみる。
「たぶん、大丈夫でしょう。」との答え。
エサを買いに行き、夕食をとって早めに寝た。

そして日曜の朝、予定通り出船、渡磯する。
場所は「赤島」
船着きの反対側、東向きの釣座。

本当は、もう少し東に在る名前も無い小さい磯に上がりたかった。
でも、今日はまだ少し波が残っているし、西風が強いから渡磯は無理だった。
そこは今から約30年前、親父に連れられ、生まれて初めて渡った思い出の磯。
出来る事ならば、その磯で親父を偲びながら釣りをしたかった。

でも、岩元渡船の船長にその話をしてあったので
「東向きの釣座に行け」と言ってくれたんだろう。
船長の心遣いに感謝しながら準備をする。

真正面には、思い出の磯が見える。
持ってきた缶ビールを開けて磯の上に置く・・・これは親父の分。
残りの一本を開けて、「親父!来たよ。」と思いながら乾杯したつもりで飲む。

さぁ・・・戦闘開始だ!
一投目から、エサトリの猛攻に遭う。
魚の活性は高そうだ。良い釣りになるかもしれない。

ただ、アタリは「ピピン、ブブン」と本命のアタリじゃない。
アワセを入れても、全然掛からない。
空が少しづつ明るくなってきて、シモリが見え始めた。
マキエを打ったら潮の流れが見える。

あそこか・・・狙いを定めて仕掛けを入れる。

「ピピン、ブブン、ピュン」

これだ!このアタリだ!
アワセを入れる・・・ノった!
竿が綺麗な放物線を描く。久しぶりに感じる磯魚の引き♪
やっぱり楽しぃ~♪

バットから綺麗に曲がる竿の姿を楽しみ、引きを楽しむ。
上がってきたのは40センチ位のサンノジ。

グレ師には外道として嫌われるが、そんなの関係ない。
釣れないより釣れた方が良いのだ♪
そして、決して不味い魚ではない。
親父もよくサンノジ釣って帰って来たなぁ・・・

再度、同じポイントに仕掛けを投入すると・・・
「ドン!」いきなり大きいアタリ。
アワセると・・・ん?泳がない・・・???
それは、小さい小さいガシラ・・・煮付けサイズ

その後、納竿するまでアタリは続きました。
納竿後、親父用のビールを磯に撒いて帰港しました。

釣果は・・・
大小合わせてサンノジが7枚
ガシラ3匹
ベラ3匹(リリース)
ウツボ1匹(リリース)

磯の上で退屈する暇が無い楽しい釣りになりました。
親父に釣りが上手くなったところを見せたかったなぁ・・・
それとも、あの世から見ててくれたかなぁ・・・
はたまた、親父が釣らせてくれたのかなぁ・・・

後日、ベラを魚図鑑で調べたら煮付けにすると美味しいらしい。
次からは、リリースしないで食べてみよう。

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